『82年生まれ、キム・ジヨン(チョ・ナムジュ、筑摩eブックス)』
ほぼ一気に読んでしまいました。
昨晩読み始めて、ベッドの中で読みながら全く眠くならなかったので、
相当引きこまれていたなと思います。
内容はフェミニズムの小説です。
以前から色々なところで紹介されていて、いつか読みたいと思っていました。
小説なので、フィクションですが、
とてもリアル。
韓国の話ですが、日本にも通じるところがたくさんありました。
私が生まれたのとほぼ同じ頃の韓国で、
妊娠中に女の子であることが分かったら中絶させられていた、というのは個人的にかなり衝撃でしたが…。
私はどちらかと問われれば、ほぼ完全にフェミニストの側の人種だと思っています。
勉強でもなんでも、
そこらの男性より今までずっと努力してきたし、
ある男性に対して頭に来て、私の方が絶対社会に役に立てるわ、と心の中で思ったこともあります。笑
なので、女性蔑視な雰囲気を感じる事には、自分ごとでなくても不快感を感じます。
昨日、緊急避妊薬についての日本産婦人科医会の副会長(男性)のNHKの番組内での発言がTwitterで炎上していました。
「日本では若い女性に対する性教育、避妊も含めて、ちゃんと教育してあげられる機会があまりに少ない…云々」
私は幸い、これまでそういう薬に頼りたいという不安を覚えた経験はないし、
体験した女性の辛さとかそういう目線での思考や発言を安易に出来る立場ではないのかなと思っています。
ただ、この話題に関して嫌悪感を覚えたのは、
その副会長の方が、
「若い女性に対する性教育」と、女性の教育に限定した言い方をした点でした。
まず、機会がないのはそうなんだろうとしても、学校などで受けている教育は同じなんだから、それは女性だけの問題じゃないはず。
次に考えたのは、この人が女性だけに限定するのは、男性は知っているという認識だからなの?と思ったとき、
確かに世の中は圧倒的に女性より男性の方が多く、アダルトビデオ的なものに触れる機会が多いことに私は意識が向きました。
この人も無意識にそれを想定して言っているのか?と。
ただ、仮にそうだとして、それは多くが「正しい性教育」じゃないことは間違いなく、
むしろ間違った教育的な側面を持っているものの方が多いのでは??
だとするなら、単なる女性蔑視(無知として扱う)か、本人の認識間違い(正しいことの履き違え)のどちらかではないか、と。
他の言い分もあるかもしれません。
でももしその考えがどこか少しでもこの発言の裏にあって、そしてそういう方が産婦人科医会の上層にいると思うと…嫌悪感しかないですね…。
例えば、生まれ変わったら男性がいいかと言われると別にそんなことはなく、
女性だから良かったことや得したこともなんだかんだあると思います。
一方で、本書の中にあるように、女性だから苦悩しなければならないこともたくさん思い出されるし、
妻となり母となっている今、
その感覚は強くなってきていると感じます。
本書に登場する女性たちはみんな、
時代や社会に翻弄されつつも、しなやかで主体的であろうとしている気がしました。
キム・ジヨンも、全部の不条理は解消されなくてそこで苦悩はしていましたが、
生まれてから現在に至るまで、どんどん良い方(男女平等な方)へ変わっていく社会もまた同時に描かれていたのは、読者である自分には救いであったように思いました。
ここまでの30年とここからの30年、時代の変化のスピードは昔より今の方が早いし、これからはもっと変わっていけるんだろうと思うのです。
私自身も、小さくてもその前向きな変化を起こす側でありたいな、と、そんな気持ちになりました。